寝る前に電気を消しても、眠っている間はどうでしょう。
廊下の明かり、カーテンのすき間。寝室には、意外と光が残っています。
この記事の答え
- 眠っている間の明かりで、体の働きが変わる可能性を示した研究があります。
- ただし20人・1晩の実験で、常夜灯が良いか悪いかまでは分かりません。
- 「眠るための暗さ」と「夜中に安全に歩く明かり」を、分けて考えましょう。
夜中にトイレで起きるなら、真っ暗は危ない。でも、明るすぎるのも気になる。そんな迷いのヒントになる研究です。
01 研究眠っている間の明かりを比べた実験
2022年に、アメリカの研究チームが発表しました。[1]健康な若い大人20人を10人ずつに分け、実験室で2晩眠ってもらいました。
図:実験のしかた
2晩目だけ、明かりを変えて比べた。
グループ10人 ほぼ真っ暗3ルクス未満 天井の電気をつける100ルクス 暗いままの
グループ10人 ほぼ真っ暗3ルクス未満 ほぼ真っ暗のまま3ルクス未満
「ルクス」は明るさの単位です。数字が大きいほど明るくなります。
論文[1]の方法をもとにSHINGU TANKが独自に作図
02 わかったこと本人は「眠れた」と感じていても、体は変わっていた
電気をつけて眠ったグループと、暗いまま眠ったグループを比べると、こうなりました。[1]
変わったこと(電気をつけたグループ)
- 心臓
- 眠っているのに、心臓の動きが速くなっていた夜の心拍数(1分間に心臓が打つ回数)が上がった
- 血糖
- 翌朝、血糖を下げる働きが鈍くなっていたインスリン(血糖を下げるホルモン)が効きにくい状態を示す数値が上がった
はっきりした違いが出なかったこと
- 本人の「眠れた・眠い」という感じ方
- 糖分をとったあとの血糖値
- 眠りに関わるホルモン(メラトニン)
つまり、どういうこと?
本人は「いつもどおり眠れた」と感じていても、体の中では小さな変化が起きていた、ということです。気づかないうちに変わることがある。これが、この研究のいちばんのポイントです。ただし、1晩だけの変化なので、病気になるかどうかまでは分かりません。
03 今夜からできること寝た姿勢から、見える明かりを探す
国の睡眠ガイドも、眠っている間の光は抑え、夜中に歩くときは足元灯などで安全に、としています。[2]
- 01
寝た姿勢で見回す
天井、廊下、カーテンのすき間。光はどこから来ていますか。
- 02
「眠る明かり」と「歩く明かり」を分ける
トイレに行くときの足元灯は、安全のための明かりです。
- 03
ひとつ変えて、翌朝ひとこと
カーテンを閉め直すなど。変えたことと、朝の感じを書き残します。
この記事で言えること
- 眠っている間の明かりで、体の数値が変わる可能性がある
- 眠気の感じ方と、体の変化は別のもの
この記事では言えないこと
- 常夜灯や豆電球が良いか悪いか(調べたのは天井の電気・1晩・20人)
- 「これより暗ければ安全」という明るさの数字
まとめ
眠っている間に天井の電気をつけると、体の数値に差が出た研究があります。ただ、常夜灯の良し悪しまでは分かりません。「眠るための暗さ」と「夜中に安全に歩く明かり」を、分けて考えましょう。
この記事は、眠る環境を考えるための一般的な情報です。眠れない、日中の眠気が強いなどで生活に困っているときは、医療機関に相談してください。
出典と、この記事のつくり方
- Mason IC, Grimaldi D, Reid KJ, et al. Light exposure during sleep impairs cardiometabolic function. PNAS. 2022;119(12):e2113290119.(原論文/PubMed)
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年9月一部修正)、睡眠のための環境づくり。(PDF)
研究[1]はアメリカのノースウェスタン大学などのチームによるもので、米国国立衛生研究所(NIH)などの支援を受けています。著者らは、利害関係はないと申告しています。「差がはっきりしなかった」は「まったく同じ」という意味ではありません。本記事は原論文の要点を日本語で紹介した独自の解説です。運営:有限会社一誠。




